第8回 写真を撮ることはシャッターを押すことではない。

前回素晴らしいフォトグラファーさん達にご協力をいただいた話をしましたが、今回はその成果が詰まった「写真」編の紹介をしたいなと思ってます。

デザインのハウツー書籍はたいてい写真はすでにそこにあるもの、としてそれをトリミングしたり、レイアウトしたりすることを解説するケースが多いと思うんです。それにちょっともの足りないものを感じていました。

僕がデザイナーになりたての頃、幸いにもカタログなどの仕事でフォトグラファーさんに写真をお願いするケースも多く、ときには、立ち会いだけでなく、ディレクション的なことも少しずつさせていただけるようになっていきました。そのとき困ったのが、自分の写真に対する基礎知識の無さ。その知識の無さが引け目につながり、積極的なディレクションができないことも多々ありました。「これ言っても無理かな?」とか「混乱されるかな?」という恐怖と恥ずかしさが先に立ってしまって。

勿論、今ではアートディレクターという仕事を人並みにはやらせてもらっているので、あれからはずいぶんと成長したものだとは思います。現場(スタジオ)にいるとなんとなく見えてくることもあるし、前は合間合間で優しいフォトグラファーやスタジオさんに「この白い紙は何のためにあるんですか?」とかよく聞いていたりして徐々に知識をつけました。

そんな助けられながらの毎日を過ごす中、意図通りの写真に仕上げていく「フォトディレクション」の工程において重要なことが2つあることに気づいたのです。

1つ目は写真の技法に関する基礎的な知識をデザイナーが知っておくこと。これは大前提です。写真とはどういう表現で、物理的にどういう仕組みで成立しているのか。またどこまでが制御できて、どこからが制御できないのか。別に高次の芸術表現としての理解は必要はありません。具体的な前提条件としての理解や知識です。

もう1つは、フォトグラファー(やその他関わる人)と適切なコミュニケーション方法を選び取る、その方法です。ちょっと難しい書き方をしましたが、ようは「相手との話し方や距、こちらの介入の度合い」です。先に述べた「知識」が邪魔をすることもあるのが難しいところで、デザイン側は知識を知った上で、それをけしてひけらかさずにコミュニケーションのゴールをフォトグラファーと共有すべきだと思います。

「知識がないほうがピュアでいいんじゃない?」という向きもあるかもしれませんが、僕は「知識の札を持っているけれど、どこまで出すか」をちゃんと決めるのが上手いディレクションだと思います。

これについては、具体的な内容も書いていますので、ぜひ本書を読んでいただきたいなと思います。

blog8

<書籍「How to Design いちばん面白いデザインの教科書」より>
君もトーンカー部に入部しないかい?

この章の後半を占めるのは実践的要素、「画像処理」についてです。これは本当に書きたかった部分!実はこの本の原稿も、このあたりから書き始めたのでした。

Photoshopは画像をよりイメージ通りに近づける素晴らしいツールですが、その機能の多さに翻弄されてしまう部分もあります。この本では、写真の章の後半にPhotoshopの扱い方についてかなり絞った形でまとめています。

それは「選択範囲」「色調補正」「カラー設定」の3つについてです。
イラストレーションも描ける、合成もできる、非常に多角的なアプリケーションのPhotoshopで、デザイナーが避けて通ることのできない重要なこの3つの項目を、なるべく分かりやすく、「なぜそうするのか?」ということを意識して執筆しています。

業務で画像処理を行うとき、特に重要なPhotoshopの機能は「アルファチャンネル」「トーンカーブ」この2つの機能だと思っています。ここをしっかり確実に理解していれば、Photoshopでの画像処理の基本はマスターしたといっても良いのではないかと。なので、この2項目はなるべく丁寧に書いたつもりです。

写真のディレクション、またその取り扱いが上手になれば、分かりやすく高品質な印刷物に仕上げることができるようになります。パシっと決まったときの快感は他で得難い。だからこそ、この写真の章でデザイナーとしての可能性を広げてもらえたら嬉しいなあと考えています。

※意味深な今回のブログ表題の答えも、ぜひこの本を実際に読んで汲み取ってもらえれば!と。