第9回 魅惑の20角関係(春)

いよいよ「How to Design いちばん面白いデザインの教科書」も発売日直前!数えるところあと数日です。早くこの本を手にとっていただきたい気持ちでいっぱいです。今回は書籍の顔とも言える、カバーのデザインについて。

カバーは本の個性を表す顔です。シンプルだけど他とあまりかぶらないイメージが良いなと思ってたので、まずは世に出ているデザイン系書籍のカバーデザインを観察してみました(分析好き)。多かったのが、白地または色地にシンプルに文字だけが入っているもの。そのなかでも圧倒的に白地が多かったです。他は、「教室」であるとか「勉強」であるとか「配色」であるとか、そういうものを連想させるグラフィックやイラストレーションが入っているもの。

連想系の表紙もいいんですが、今回のような本は網羅する部分が多過ぎて、特定の比喩的イメージを引っ張って来るのが難しかったんですね。それで具体的な意味を考えるのはやめて、とにかくアイキャッチャーを置こうと思いました。ドーン!という王道感があればいいや(笑)と。

目を引くアイキャッチャーといえばやはり丸形でしょうか。それで丸をドーン!と思ったのですが、素直すぎて、違和感の要素が無かったんです。

この「違和感」というのは、自分がデザインするとき、わりと強く意識していることで、ぱっと見たときの引っかかり、それが好奇心をくすぐると考えています。書籍カバーでも、この違和感の要素は重要で、「何か気になる」ってことは次の興味(手にとろうとか、開いてみようとか)への動機付けになるのではないかと思っています。

たまにクライアントさんからのデザインの戻しや感想で「何か気になるから」修正してください、って来るんですけど、場合によっては「何か気になる」ってすごい褒め言葉だと思うんですけどねぇ……。

そこで、「丸っぽいけど丸じゃない」正多角形を丸の代わりにしようと思いました。実は前にも同じアイデアでCDジャケットをデザインしたことがあるのですが、今回はそれの兄弟版のようなデザイン。

さて、何角形にするか?これは悩みどころ。いろいろ試作を作りました。ポイントは「ぱっと見丸っぽいけど、よく見ると明らかに多角形であることが分かる」角の数。結果として20角形を採用しました。面白いことに多角形を使う大きさによって角の数の受ける印象がまるで違っていて、この大きさ感でないと20角形がハマりません(面積が小さくなると角数を小さくする必要がある)。

この大きさと角の数の関係が、(要素の関係性が重要な)グラフィックデザインの楽しさを表していて、象徴的なカバーデザインになったなあと勝手に思ったりしています(自己解決)。

blog09

書籍カバーって帯つけたときにあわせるか、
帯とったときにあわせるか難しい…。絶妙な設定が必要です。

次は色。目立つのは赤なんですが、赤っぽい丸だとちょっと強すぎたので、フレッシュで春らしいグリーンの特色で塗りつぶしました。How to Designの文字や「いちばん面白い」の傍線は蛍光ピンクで表現しました。スミ文字はしっかりと出したかったので、「スリーエイトブラック」という濃くて少し青味がかった特色ブラックを使っています。

デザイン系書籍の表紙だと風合いのある用紙(微塗工紙など)が用いられることが多いですが、この本はがっつりグロスPPフィルムを貼っています。それは、差別化の意味合いもありますが、この本を長く持っていて欲しいから、経年にも負けず、手汗にも負けず、汚れないようにとの思いです(ぼく、手汗かくんです)。

その代わり物質感の違いを楽しめるように、帯には微塗工紙を採用しています。全体にLR輝シルバーという金属光沢感満載のインキをベースに、スリーエイトブラックで文字を印刷しています。LR輝は微塗工紙との相性も良く、この帯はぜひ色見本としてお使いいただければ幸いです(^_^)。

後日談ですが、あとで雑誌の表紙をよくデザインされている先輩デザイナーさんに(表紙を見ていない状況で)「一番売れない色は緑だから!絶対緑はやめたほうがいいよ!」っていわれていたくヘコみました。

この本が数日後、店頭に並ぶことを夢見て、本日は失礼させていただきます。次回は発売日の前日あたりに更新できれば!と。