第4回 3度美味しい教科書。

第4回なのに3度ってゴロが悪いじゃないのよ!と思っちゃった方、気にし過ぎです(でも、僕もこういうの気になるタイプです)。

今回はこの本をこんな人に読んでほしいなーって思ってるという話を。

まず、「これからデザイナーを目指して頑張ろうという人」。美大生、専門学校生はもちろん読んでいただきたい、だって「教科書」ですから。今は一般大学からでもデザイナーを目指す人は多いですよね。僕も大学では社会心理学をやっていたのでその部類の人間です。それから社会人を経験してから改めてデザイナーを目指す人も。とにかくグラフィックデザイナーを志して勉強したいという、全ての人に読んでもらいたいと思っています。まずこれが最初に読んでもらいたい方々です。

ただ、この本は「現場のリアル」を書いてるので、学生さんには難しい部分や、現場を見ていないと、なるほどと思ってもらえない所があります。そこがただの座学的な本とは違っているのです。そこで……。

あ、ごめんなさい、話ちょっと飛んでいいですか。

今は紙の雑誌としては刊行されていませんが、「デザインの現場」という雑誌が大好きで、学生時代から毎号欠かさずに購入・愛読していました。ご存知の方も多いと思いますが、デザインの生の現場を切り取り、熱く語りかける「名雑誌」でした。しかし、学生の自分には全ての内容が分かるわけではありません。例えば「インキの組成が〜」とか書かれていても実際に見られるわけじゃありませんし、だいいち特色はすごい!って比較を4色印刷の雑誌で見てるわけですし。
この「デザインの現場」の価値を実際に知ったのは、本当に現場に入ってからでした。デザイナーになってはじめて「あー、あそこで言っていたのはこういうことだったんだ!」と目から鱗なことがしばしば。そう、僕は「デザインの現場」のバックナンバーを全部捨てずに会社に持ち込んでいたのです(そして今でも全部持っています)。本が2度目の価値を生んだ瞬間です。

話、戻りますね。もう一回繰り返して……。

ただ、この本は「現場のリアル」を書いてるので、学生さんには難しい部分や、現場を見ていないと、なるほどと思ってもらえない所があります。そこがただの座学的な本とは違っているのです。そこで、

先にあげた僕の例のように、この本には2度目の価値を生んでもらいたいと思っているので、学生さんは、就職しても捨てずに持っておいてほしいなと願っています。現場で本当に分かることもあるから。

次に、これは僕が描いている一番の理想的な読者層です。

「デザイナーとして就職して3年目以内くらいの人」。そう!まさに!

この人達はこの本を一番活用できる立場にあるといえます。何も教えてくれない現場で、この本が取り付く島になってほしいと考えています。

思い返せば、僕が最初に就職した先であまり教えてもらえなかったと思うことに、印刷現場とのコミュニケーションに関することや、フォトディレクションについてのことがありました。そういう経験から、これらの項目はこの書籍では必ず入れようと思っていました。他にも、新人デザイナーさんにとって、知っておいて損なことは何一つ載せておりません!

そして、最後に読んでいただきたい方々。

本当に僭越なのですが、「経験年数はあるけれど、これから取り戻したい、再確認したい項目があるデザイナーさん、またはDTPオペレーターさん」です。例えば作業は早いのだけれどデザイン的な考え方をもっと埋めたい、とか、写真をディレクションするようになったけど今ひとつ知識に自信がない、といったようなケース。この本はグラフィックデザインに必要な知識を全方位的に効率良く網羅しているので、そのような穴埋めや再確認に使っていただけるだけでも、有り難い話です。

このように、デザイナーのキャリアの中で3回、使える本であってほしいと願っています。鞄に入れておけるB5サイズ、表紙にグロスPPフィルムを貼ったのも冗談ではなく耐用年数を増やすためです。お洒落だけどすぐ忘れられる本ではなく、質実剛健な教科書にしたかったのです。

実は、隠された4番目の買っていただきたい層があります。

それは「新入デザイナーを入社させた社長さん、上司さん」。

とりあえずこの一冊を渡して「これ読んでおいて」と言えば、立派な一人前のデザイナーに勝手に育ってくれるはずです。裏コンセプトは「教育係が楽できる一冊」(笑)。