第5回 CMYKのKは「KURO」じゃないよ。

中身の話に戻って、今回は第2章「色」の紹介です。

色の話って、多くの人が興味を持っているのと同時に、何をよりどころにしてよいかと、悩める分野だと思います。そして、以前にもお話した「センス」の一言で納められがちな要素もこの「色」だったり。

グラフィックデザインにおける「色」という要素の大事さって何でしょう?いろいろあるとは思いますが、まずは「コミュニケーションの速度」にあると思います。人間関係に例えれば「第一印象」。最初は顔つきを見ますよね。「外見で判断しちゃいけない」とは思いつつも、ぱっと見の印象が相手との距離感に大きく影響する。「色」はデザインの顔つきを決める一番大切な要素です。

まず「赤い本だなー」とか「青いCDジャケだなー」とかそういうことが飛び込んできて、刷り込まれる。広告などで見たパッケージを店頭で探すとき、商品名以外のビジュアルヒントとして一番大きいのは色じゃないでしょうか。よほど特徴的なものでなければ、形状やロゴで探したりしないと思うんです。

そんな大事な役割を持つ色、だからこそ、その判断をまかされるデザイナーは大事な役割を担っていると言えますよね。

さきほどの色はセンスと思われがち、という話、一回目から言ってる主旨からずれるかもしれませんが、
「色はセンスです。」
と言い切っちゃいましょうか。それはある意味正しいです。しかし正確にはこうだと思います。
「色は<あるレベルからは>、センスです。」
言葉で説明できないセンスによる配色というのは確かにあると思います。しかし、グラフィックデザインを職能として捉えたとき、まず素地として獲得すべき部分があります。そこをセンスの棚上に上げてしまうのではなく、しっかりと自分でも噛み砕きたいと思い、この「色」の章を構成しました。

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色の章で意識したのは「机上の空論ではなく、グラフィックの現場で、リアルに色が取り扱えること」です。色彩論の教科書はたくさんありますが、総合的な色の教科書の場合、例えばインテリア、建築、スタイリング、などグラフィックデザインに特化していないものも多いです。

本書では一つの筋道として、印刷物の基本となるCMYKカラーを、いかに理屈で(笑)扱うかということにフォーカスしています。もちろん特色や物質色など、グラフィックデザインの全ての色をCMYKで考えることはできません。しかし、まずは、今の世の中の90%を超える印刷物の表現方法である、CMYKの仕組みを原理的に理解する、ということを大事にしています。

そして、色の三属性である「色相、明度、彩度(本書のアプローチではこの順番は重要!)」とCMYKの関係だったり、既存の配色理論のCMYK的活用だったり、写真や文字と色の関係、物質と色の関係など派生するトピックへと繋げています。また、この章では、理論と実践(PCでの作業)の連動も多くあり、どうか、この章を読んでアプリケーションのカラースライダーを自由に操れるようになってもらえたらなと思っています。

………ところで、タイトルの答え、分かりますか?
CMYKの「K」は何の略かについて、そしてこのKという色(版)の重要性についてもこの本でたくさん解説していますので、よかったら確かめてみてください。